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No.47  【 昔日の悲劇 】




 ざあざあ頭から降りかかってくるお湯の中で、その水音に混ざってなにやら物音がしたような気がしたので、ふっとシャワールームの扉を見てみた。
当然というか、別に変わりなんてないし、気のせいかと思ってかまわずに髪についてるコンディショナーを洗い落とす。
だけどまたなんか物音がしたような気がして、今度はきゅっとシャワーコックをひねってお湯を止めた。
ばたばた髪や体から落ちるお湯の音に混ざって、他に何か物音が聞こえないか耳を澄ましていたら、やっぱり明らかに物音がしたのに気付く。
 ちくしょう。
骸さんか? それとも武さん?
オークションから戻って早々に、セクハラ行為とはいい度胸だこのやろう。
 ここはボンゴレのお屋敷だし、ボスやみんなが私の部屋に無断で侵入するってのは、別に珍しいことじゃない。
だけど、この時間帯、主に風呂に入ったりシャワーに入ったり力尽きて寝るような時間帯に部屋に来るのは、骸さんか武さんくらいしかいない。
 もちろん、悪ふざけという名のセクハラをするためだ。
もう何度風呂場に入られそうになったかわかりゃしない。
別に本気で襲おうとしているわけじゃないんだろうけど、心臓に悪いっちゅーの。
 そんなワケで、私は、出来るだけ音を立てないようにこっそりとシャワールームのドアを開けると、さっと引っ掛けてあったバスローブを手に取った。
とりあえず、部屋から叩き出すにしても、裸の状態じゃどうにもならn


「見つけた。」


 びしり、と固まったのは、無理も無い。
絶対不可抗力だと思う。
というか、叫びださなかった私は偉いと思う。
 だって、ちょいと冷静に整理してみようじゃないか。
私の今の状態 → バスローブを着る直前 = ら。 ラ。 裸。 ガッツリ素っ裸。
目の前に現れた人 → クロロ=ルシルフル = 幻影旅団団長 → ヨークシンで別れたばっかじゃね?
現在位置 → イタリアinボンゴレファミリーのお屋敷in私の部屋。
どー考えたっておかしいし!!!


「ちょ、な、待っ、くろろぉっ?!」
「あぁ。悪く思うなよ、。」


 口をパクパクさせて、とても言葉にできないこの心境を叫びかけたところで、私の意識は途絶えた。
強烈な一撃を首の後ろに食らって、かくりと気絶させられたのだ。
ワオ。 空手麻酔なんて食らったの始めてなんですけど!!


居たのー!?」
「あぁ、こっちだ。」


 力が抜けた私の体を支えながら、呑気に叫んでるシャルの声に答えるクロロ。
ちょっと待ってみんな来てるの?
私素っ裸なんですけど、みんな呼んじゃうの?
と、悠長にそこまで考えたところで私の意識は完全にブラックアウトした。
 ちなみに、素敵に拉致られたその後、盛大に喚き散らした私は悪くない。
断じて悪くないはずだ。


「信じらんない!非常識にも程があるし!!!」
「私達盗賊ね。欲しいもの奪て何が悪い?」
「しれっと可愛く首傾げても騙されないもん!!盗賊のアイデンティティなんか知らないもん!!何が悪いですって!?人をバスローブ一枚で拉致しといてよくもそんなことが言えるわねっ!!!」
「服着るの待ってたら、ボンゴレに気付かれそうだったしね。」
「全部見られたし!よりにもよってみんなに!!しかもまた拉致事件だし!!もうお嫁に行けないぃぃぃぃぃっ!!!」
「別に減るものでもないだろ?」
「何よ!!そこら辺の経験豊富なお姉さんと一緒にしないでよ!!私はまだぴちぴちの女子高生なんだからーーーーーっ!!」
「ぴちぴちの女子高生だから、つるぺただったのか?」
「ぎゃーーーーっ!!!つるぺたとか言うなこんちきしょーーーーーっ!!!!!」






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2010/01/11 
ひっそりと、滾々No.23へ続く。



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