Replica * Fantasy







No.45  【 直球勝負が怖いだなんて 】




「おい、。お前、自分が何で生かされてんのか分かってんのか?」


 目の前で仁王立ちされて、眉無しの男の人が私を睨みつける。
フィンクスさんだ。
一応「さん」付けとかしたほうがいいのかと思ってしてみた。
だからフィンクスさん。
……ダメだ、違和感がありすぎる。
 とにかく、この人短気だからなぁ。
どうやら私は何の地雷を踏んだのか、本格的に彼の怒りを買ったらしい。


「一々名前全部言わなくても分かってるよ。いつでも殺せるからでしょ?蜘蛛相手に生き延びる可能性を見出す程楽観的な思考回路は持ち合わせてないもん。」


 言い返した言葉と声が、がらんとした廃墟に響き渡る。
多分、フィンクスが切れた時点で私達の方に視線を向けていた旅団の皆様の中で、何人かが目を見張ったのが視界の端に映る。
 ちなみにクロロは本に目を落としたままだった。
放置ですかこんちきしょう。


「私みたいな小娘一人、好きにさせといたって何も問題なんか無いもの。戦って勝てるわけでもない。逃げたって逃げ切れるわけが無い。今は必要と思ったときに使えるから、団長命令だから生かしてる。だけどそれもそっちの気分次第。」


 フィンクスをまっすぐ見つめ返す。
何か言えるモンなら言ってみろ、というノリで。
まあ、むしろ私がキレてんのかもしんないないえどね。
 だって理不尽すぎるじゃんか。
 おお、何かそう考えてたら腹が立ってきた。
もうこれは勢いに任せてレッツ逆切れしか無くないか?!
 そんなわけで、フランクリンのダブルマシンガンの勢いで逆切れしてみました。


「自分の命がそっちの手の内だなんて、今更言われなくたって分かってるもん。利用価値が無くなった時点で殺されるんでしょ?私が気に入らないならその時にはフィンクスが殺せばいいじゃん。だいたい、先が見えてるからってどーして悲観的にならないといけないの?人質はおとなしくしおらしく相手の顔色をうかがわなきゃいけないって法律でもあるの?空気読めって言いたいの?馬鹿みたい。それに、仮宿から出なければ好き勝手していいとか、欲しいものや必要なものがあったら盗ってきてやれって言ったのは、団長のクロロじゃない。ならいつ殺されるかも分からない人生の最後に、その言葉に甘えて我が侭三昧することの何が悪いの?それとも何?!A級首の天下の幻影旅団がハーゲンダ○ツも盗れないっていうの?!」
「問題はそこじゃねぇ!俺は天下の幻影旅団が何でハ○ゲンダッツなんぞ一々盗りにいかないといけないんだっつートコだ!!そんなモンの為にいちいち面倒くせぇっつってんだよ!!」
「は?!『そんなモン』ですって?!言うに事欠いてダ○ツを『そんなモン』呼ばわり?!信じらんないこのセレブ盗賊!!赤貧高校生にとってダ○ツがどんだけセレブなアイスか知っての狼藉かっ?!」


 あれ?
何だか言っててレベルが低いのか高いのか良く分からない次元になってきたぞ?
言うだけ言って、それに気付いてしまった私は、とりあえずフィンクスを見上げながら思考をめぐらせる。
 怒鳴り返しちゃった。
いえー、逆切れバンザイ。
 あーあ、ついにやっちゃったヨ。
これで抹殺決定かしらね?
 ハーゲ○ダッツ(定価298円)で人生棒に振るなんて、ちょっと早まり過ぎたかしら?
 もうどーでもいいけど。
とりあえずフィンクスは圧倒できたからもういい。


「――人生諦めが肝心。」
「ぷっ」


 沈黙に耐え切れず、思わずしみじみと呟いて頷けば、あっけに取られているフィンクスの背後から吹き出したような声が聞こえた。
フィンクスと二人して声の方向を見れば、シャルが腹抱えて笑っていました。


「「シャルっ!!」」


 私が叫んだら、同時にフィンクスも叫んでいて、むぅっと奴を小さく睨んでみたら視線がかちあった。
何だか考えてることが一緒っぽくてイヤだ。
ちなみに、そんな私たちの反応を見てシャルがさらに笑い転げたのは言うまでもない。
 何? シャルって笑い上戸なの?
つーか、失礼極まりないし。


「そこ、笑ってんじゃねぇ!」
「そうだよ!いくらフィンクスが面白いからって!」
「あぁ?てめーに言われたかねぇよ!」
「何よ眉無しの癖に!」
「何だ胸無しが!」
「ぎゃー!セクシャル・ハラスメント!教育的指導受けてこいコノヤロー!!」


 ばちこん、と。
強かに頭を叩いてやれば、予想に反してフィンクスは殴られてくれた。
 おや? 殴られた?
珍しくない? 滅多に出ないボランティア精神?
 それとも…


「ねぇ、もしかしてさ、蜘蛛のみんなって、命の掛かったやり取りではほぼ無敵だけど、小学生が好きな子をいじめるレベルのどつき合いは意外に慣れてないとか?」


 まあ、レベルが違いすぎるから、フィンクスやシャルにどつかれたら、単なるどつき合いのレベルでも死にそうな気配がしなくもない。


ってさぁ…」
「なによ?」


 そんな私の心配をよそに、シャルがようやく笑いを収めて、でもなんか笑い足りないような様子で私を見るので、和えて私はツンデレちっくに答えてみた。
う〜ん、3文字じゃツンデレ具合が出せないな。
とか思っていたら、シャルは満面の笑みで一言。


「変だよね。」
「疑問をすっ飛ばして断定かちくしょう。」


 「今更だけど、何度も言ってるような気がするけど、俺達旅団だよ?怖くないの?」と聞かれたので、「今更だし、何度も答えた気がするけど」と、前置きして、とりあえずもう一度答えておく。


「だって、(こんなにオイシイ状況なのに、)遠慮してちゃ(いろいろと)損じゃない?(正にトリップ的な逆ハー法則全開なのに)直球勝負が怖いだなんて言ってたら、負け犬人生まっしぐら(っつーか、腐女子失格)じゃない。」
、今なんか良からぬことも一緒に言わなかった?」
「シャルってば、幻聴?若いのに大変だね。」






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2009/07/06
クロスオーバーではこんな風なノリになる予定なんだけどなぁ…
い き つ か ね ぇ ! (爆)



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