「こっちのハロは凄いねぇ…。整備から何から、狙撃の補正までしてくれるんだ?」 感心したように、はロックオンのオレンジ色のハロを抱えて声を上げる。 ちなみに、彼女の相棒である苺ミルク色のハロはパタパタとそこら辺を飛びながら『ズルイズルイ』と言っている。 どうやら自分の定位置であるの膝の上に別のハロが居ることが気に入らないらしい。 ロックオンはそれを見て苦笑しながら、に紅茶を出してやった。 パックにお湯を注ぐだけの、簡単なやつだが、はそれでも嬉しそうに笑う。 安上がりな娘だ、と、思いながらも、ロックオンは自分の相棒に視線をやった。 「まぁ、こっちのハロはペットロボとして作られたわけじゃないからな。ある程度頑張ってもらわなきゃ意味無いんだ。何しろ、私設武装組織だから、人員は最低限にしとかないといけないし。」 「そっかぁ、こっちのハロは働き者なんだね。それに比べると、このちゃんは、あんまり実用的な能力は無いよねー?」 『ミトメタクナーイ!』 そう言って、はロックオンのオレンジハロをぽんっと離す。 オレンジハロはそのままロックオンの手の中に納まり、彼のハロよりも一回り半ほど小さいのハロは、待ち構えていたようにの膝に収まった。 『!ハロ、ゲンキ!!』 「はいはい、も元気ですよー?」 そのやり取りを見ていて、ロックオンは苦笑を浮かべた。 おそらくのハロは、声や表情などから相手の感情を推測して、それに合わせて登録している言葉の中から最善の反応を返すのだ。 それは、ロックオンたちのハロよりもはるかに語彙が多く、口を挟んでくる回数も多い。 は『実用的でない能力』と言ったが、専門家が見れば驚くに違いない。 「のハロは、そっちでは量産されてるペットロボなのか?」 「ううん、違うよ。これはね、同じ隊にいた人が作ってくれたの。本当は、婚約者の為に作ったやつだったんだけど、あんまり私が『いいな〜、いいな〜』って言ってたら作ってくれて。」 同時に、の脳裏にこのハロの製作者の顔が思いだされた。 彼を皮切りに、次々と、浮かんでくる。だが、はもうそれに捕らわれたりはしなかった。 割り切らなくては、この先は生きていけない。 「へぇ、そいつは、随分とマイクロユニットに強かったんだな。」 「うん、あとからもああだこうだって言ったら、色々性能をつけてくれたんだ。どうせなら、狙撃補正のAIも追加してもらえばよかった。ね、ハロ。」 『ハロハロ』 の言葉に、彼女のハロは目をちかちかとさせて答える。 はそう言うが、彼女の乗っているMSは中・長距離射撃装備は殆どないから、その機能はハロのメモリを食うだけだろうな、と思いながら、ロックオンはふと浮かんだ疑問を口にした。 「で、のハロにはどんな機能があるんだ?」 「盗聴と盗撮とピッキング機能とGPS機能と、オーディオプレイヤー機能!!」 「はぁ?!」 嬉々として答えてくるに、ロックオンは思わず問い返してしまった。 |
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