「氷帝じゃ俺様が法律だ。お前もマネージャーをやるからには、跪け、崇めろ、奉れよ。」 「氷帝の法律って、『うざい、うっさい、うっとおしい』って三原則だったりするんですか?法律を騙ることが跪いて崇め奉られるようなことだとは思いませんけど。それより自分のアホらしい生き様を省みたらどうでしょう?それでもその恥ずかしい感覚が自覚出来ないなら、別の意味で崇め奉って差し上げます。」 小馬鹿にしたような口調で、たった今監督が紹介したとかいう名前の女の子を跡部が見下ろした。 今更その身長差を埋めようという気も起きないらしいは、跡部の言葉なんか歯牙にもかけない様子で飄々と言い返した。 一言言えば三倍くらいにして返すその姿の勇ましいこと。 まさかそんな風に返されるとも思っていなかったらしい跡部は、まるで棒を飲み込んだような表情でを見下ろしていた。 ちっこい癖に跡部に真っ向から言い返したは、そのまま跡部の反応を待つこともなくあっさりと洗濯物の籠を抱えて立ち去ろうとする。 「ああ、これは跡部先輩の負けですね。あの子…ちゃんでしたっけ?全く持って気にもしてないみたいですし。」 「お前もそう思うか?」 隣にいた、やたらと身長の高い後輩が笑いを噛み殺しながらその様子を見ているので、思わず俺も抑えていた苦笑を零す。 だってよ、あの、跡部がだぜ? 俺様何様跡部様が相手にされないであしらわれる様なんて、見ようと思ったって見れるもんじゃない。 跡部を前にして、萎縮するとか媚を売るとか、それ以外の反応を示す女を見るのは久々だった。 しかも、監督の姪っ子とはいえ、相手は半年前まで小学校に通っていた子供だ。 まぁ、子供だからあんな反応が出来るのかもしれねぇけど。 何の前触れも無くマネージャーとか言われて納得がいかないのは跡部だけじゃないだろうが、このままだと一癖も二癖もあるメンバーに気に入られるのは時間の問題だろう。 というか、俺は気に入った。 跡部、額に青筋が浮いてるし。 「俺様に喧嘩を売るとは、良い度胸じゃねぇか。マネージャー業がいつまで持つか見物だな。」 「売ったってお金にならないものを売る趣味はありません。部長なら非生産的な会話をする前に洗濯機の場所くらい教えて下さい。」 あ、跡部の顔。また青筋が一つ増えた。 |
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