「んー…」 「マチ、動くな。」 クロロの腕の中で眠ったマチが、なにやら少し悶えながら身じろきをした。 それを、クロロは口では文句を言いながらもちゃんと支え直して体制を入れ替えてあげている。 うん、いいお父さんっぷり。 で、もう一人のお父さんといえば。 「だー、そろそろ腕が限界だ!」 平均的なサイズよりもやや小さめではあるものの、それでもそれなりに重くなってきているフェイタンを抱えていたフィンクスが声を上げる。 でも、やっぱり小声にして起こさないようにしているあたりが、ちゃんとお父さんしてる感じ。 うわぁ…天下の旅団が、何て微笑ましい光景。 お子様団長が幼児マチを寝かしているところとか、眉無しのフィンクスが同じく幼児なフェイタンを寝かしつけてるところとか。 拷問大好きっこのフェイタンがちゃんとお子様して眠ってるところとかもかなり違和感を覚えるけれども。 そもそもクロロとフィンクスの子供時代っていうのが、なんか…。 「あー!」 「ああ!ごめん、シャル!」 とか、思わず子育て旅団風景を眺めていたら、私の腕の中で赤ちゃんシャルがすっごいじたばたして自分のご飯を要求してきた。 現在シャルくんは夜のミルク中です。 うん。 ちょっと哺乳瓶がずれてミルクが零れちゃった。 シャルはそれも絶好調でべろべろしてるけど。 とりあえず哺乳瓶をシャルの口に突っ込んで、私はもう一度マチ付きクロロとフェイタン付きフィンクスに視線を向ける。 そんでもって、文句を言いながらちゃんと世話してるクロロとか、フィンクスとか。 ちゃんとお兄さんしてるんだなーとか、幻影旅団なのになーとか。 色々思ったりするんだけど、結局のところ、私が思うのって言うのは。 「子供って可愛いよね〜。」 うふふふふ。 と、思わず哺乳瓶をやりながら一番手近なシャルをぎゅぎゅーっと抱きしめて。 もちもち肌に頬ずりをする。 なんだこの史上最強に癒される感触。 ちょっとミルクでぺったぺったしてるけど、気にしない気にしない。 「、落ち着け。シャルが潰れる。」 「、そんなに子供が欲しいなら、協力するよ?」 とりあえずなんちゃって年長組からは呆れてるんだか馬鹿にしてるんだかよく分からない反応を貰ってしまった。 フィンクスはまあいいけど。 クロロの反応って微妙じゃない? 君まだ6歳児じゃないの? 「クロロとフィンクスだって、子供好きでしょう?そんなに大事に抱えて。」 「別に好きじゃねぇよ。この場合はしょうがねぇだろ?」 「此処では、弱者が生き延びるには強者に縋るしかないからね。」 「そっか。そうだね。マチもフェイもシャルも、今はともかくとしても、将来有望だしね。」 二人とも、素直じゃないんだからなぁ。 強くなければ生き延びれないなら、マチやフェイタンを見捨てる事だって出来るのにね。 それをやっぱり守ってるのは。 「でも、頬ずりしたくなるくらい好きでしょ?子供全部が好きじゃなくても、マチとフェイタンとシャルは、特別だよね。」 思わずシャルに頬ずりしたら、物凄い嫌がられてしまった。 |
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