「面白可笑しい顔して、何読んでるのさ。」 久々に会ったかと思えば、開口一番『おもしろおかしい』ときましたか、雲雀さん。 喧嘩売ってるんですか? いや、売ってても買いませんけどね! 例え半額とかでも、雲雀さんから買い物なんて絶対恐ろしくて出来ませんけどね!!! と、一瞬にして思ったことはもちろん口にはせず、答える代わりに私は今まで読んでいた紙の束を雲雀さんに突き出してやった。 「ボスが、『の好きにしていいよ』って一言と共にくれたの。」 と、いう、それは。 いわゆる私に関しての生体実験に関わる何がしかの書類らしい。 個人情報も甚だしいその紙の束には、中には羞恥プレイも極みなちゃんのヌード写真とか挟まってたりもします。 ――うん、ごめん、嘘。 半分くらい変なコードとかに埋もれてるし、別に素っ裸だからってセクシーショットでも何でもないです。 とりあえず、何か非常に歯切れの悪い口調でボスが渡してくるから、『いらねぇ』とか言うのも悪い気がして受け取っておいたんだけども。 やっぱりいらねぇし。 どう考えてもいらねぇし。 雲雀さんは興味を引かれたのか、私からその紙を一枚二枚と奪って眺めている。 「は、過去とは決別したワケ?」 そんでもって、何か良く分からないことを口走った。 「決別」? なんでまた。 と、聞き返そうかとか思いつつ、うん、何だかなぁ……。 「雲雀さん、も?」 「も?」 なんだか、それだけ聞いてると、人外生物のコミュニケーションのやり取りのようだ。 でも、笑うと雲雀さんは怒るから、怒られない程度の苦笑で誤魔化しておく。 「決別ってほど、大げさなものじゃないと思うんだけど…」 「じゃあ、乗り越えたわけ?」 「う〜ん…元々私にとっては立ちはだかるようなものでもなかったし。」 「じゃ、逃げたの?」 「どうなのかな?それはよく分からないけど。でも、とにかく私には過去はいらないから。強いて言うなら、割り切ったのかなぁ……」 というか、あんまり考えたことが無かった。 考えたことが無かったのか、考えたくなかったのかはビミョーな所だけど。 うん? でも、ソレは逃げたってことなのかな? 多分、私は私のことについて、みんなより深く考えてないんだと思う。 感情がどうとか、実験されたことを怨んでとかじゃなくて、ただ興味が無いんじゃないのかな? 少なくとも、意識レベルでは。 自分のことなのにねぇ…。 「う〜ん、『新たな自分』なんて見つかったことも無いのに、『新たな問題』はざくざく出てくるなぁ…」 思わず溜息が漏れた。 ら。 それを耳ざとく聞いていたらしい雲雀さんに呆れられてしまったヨ。 だから、一応弁明っぽいものをしてみた。 「だからね、雲雀さん。乗り越えられたのか逃げただけなのか、それは今でも分からんとです。」 「うん、そっか。そうだね。がお気楽な性格だっていうのは、今更だったね。」 「何だよ結局そうなるワケですかちくしょう。」 |
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