Replica * Fantasy







No.19  【 この気持ちは本物でも偽物でも、叫びたいことが確かにあるんだ 】




 よく、考えてみたけれど、やっぱりよく解らなくて。
途中で考えるのを放棄しようかと思ったのですよ。
つまり、私が『私』について考えるのって、最初から最後まで無理があるんじゃないかって、そう思ったから。
 う〜ん、今まで、忘れてたというか、キヲクを抹消だか入れ替えだかされてたのって、そんなに深刻に考えたこと無かったけど、やっぱりちょっと深刻に考えるべき問題だったのかな?
 あやややや。
これってもしかして自我同一性の拡散?
いや、危機なのかな?
間違っても確立じゃないだろうしな。
うんもう何でもいい。
今の私がそう思ったんだから、アイデンティティ・クライシスでも何でもどんと来いなのよ。
開き直った女に怖い物などないのだ!
 意を決するとか、そこまで深い決意があったわけじゃないけど、とりあえず喧嘩腰な勢いで、私はボスのデスクの前に立ちはだかった。


「ボスー!」
「何ー?」


 だけどボスは、わざわざ仁王立ちまでしてデスクの前に陣取った私のことなんて殆ど気にもせず、黙々と書類にサインしながら私の口調を真似して切り返してくる。
 うわー、冷たっ!
そんなんじゃちゃん傷つくよ?!
まぁ、これくらいじゃ負けないけどね!
 それを証明するかの如く、私はばんっと音を立てて机に両手をついた。
流石のボスも、これには驚いたらしく、ようやく書類から顔を上げる。


「なに?どうかしたの、?」


 私がにっこり笑うのは、そんなに怖いかこのヤロー。
 恐る恐る聞いてくるボスに、思わずこめかみがひくついたのだけど、それじゃあ話は進まないし。
後々ねちねち言ってやると心に誓ってから、私は今日の本題に入った。


「今日はね、思いのたけを伝えに来たの。」


 だって、この気持ちが本物でも偽物でも、叫びたいことが確かにあるんだから。






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2008/05/23
イメージは雪祢さんの10年後ツナで。
仁王立ちで愛を叫びたい管理人の衝動を書いてみた。



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