"闇は太陽と月を得て、命を育むものになる"。 そうして、一番最初に生まれた命が、白い髪に紅い眼の、光の神様。 実感など湧きようもない話をされて、が理解出来た点は、一点のみだった。 ルウを見上げて、はぼんやりと呟く。 「だから、ルウは私を抱きしめるの?リィやシェラが私に優しくしてくれるのも、私が光の神様だったからなの?」 ラーは、互いが互いに己の半身であるといえる、相棒の存在がある。 ルウとリィがそれに当たり、そして彼等はラー一族が怖れる『太陽』と『闇』であった。 シェラは『月』であり、そして自分は『光』なのだと。 だが、彼らにそんな記憶は無い。 無いが、それでもルウとリィはそれを信じている。 そうでなければ説明がつかない部分も、確かにある。 だけど、それだけで片付けてしまうことが、にはどうしても出来なかった。 「前世なんて、知らないわ。私は、私なの。」 「うん。そうだね。は、だよ。」 ルウは、自分の腕の中から逃げ出そうとするを捕まえて、また強く抱きしめる。 愛しむように。 愛しむように。 愛しむように。 それが、が遠い昔にルウが生み出した存在であるからというのなら、はそんなものは要らないというのに。 「でもねぇ、。それは、どうしようもないことなんだ。僕は、ずっとずっとずっとずっと昔に、君を生んだという事実を知っている。そのおかげで、と出会えたってことは、否定もしようが無いことなんだ。」 闇の相棒である太陽 そして、導かれるようにまた、光 それが、自分達には及びもつかない力以外の、なんであると言えるのだろう。 「が、以外の何者でもないってことも、僕は良く知ってる。だけどね、がになる前は、僕たちと繋がりがあったんだ。一度はみんながバラバラになって、今まで一度もめぐり合うことは無かった。それこそ、すれ違いに生まれたり、別の世界に生まれたり。だけど、今は違う。」 導かれた。 それが、自分達が引き合う引力であると、ルウは確信していた。 じゃなければ、こんな事態は説明がつかない。 嫌がって逃げ出そうとするを、ルウはがっちりと腕の中に閉じ込める。 基本的に自分達は、相手を束縛するようなことは無いのだけれど。 「。ルウはに会えたことが、嬉しくてしょうがないんだ。光じゃなくても、はなんだから、そう邪険にするなって。」 「そうだよ。めぐり合ったのは運命かも知れないけれど、を好きなのは、光 リィがからかうように笑い、なおもぶすくれるに、ルウはそのつむじに優しくキスを落とす。 ルウの腕の中でくるりと体勢を入れ替えたは、やはりぶすくれた不満そうな顔で抗議し、そしてルウの身体に抱きついた。 「それじゃあ、生まれ変わりなんて、寂しいこと言わないで。」 結局のところ、自分も彼らが好きなのだから。 |
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