地べたに横たわって動かなくなった身体をつついてみる。 うん、完全にやっちゃったなぁ…。 そんなつもりは無かったんだけど。 でも自分の仕事はしなきゃって、必死だったから。 上手く『スイッチ』が入らなかったのかもしれないし、綺麗に入りすぎちゃったのかもしれないし。 まぁ、原因はいっぱいありそうだけど、とにかく、失敗以上成功未満って所なんだろうか。 だって、ボス達のお仕事の援護だったんだよ。 お仕事それ自体を失敗にするわけにはいかないんだよ。 だから、私は骸さんと雲雀さんと外回り。 内回りのお仕事は、ボスと武さんと隼人さんの仕事。 まぁ、それでも、私が分担した分は、雲雀さんや骸さんの半分くらいなんだけど。 だから、二人はまだそこら辺で遊んでいるはず。 ごろりと、もう動かなくなったそれに触ってみる。 血を流してて、白目を剥いてて、何だか少しグロかった。 私、一体どう殺ったんだろう? お腹から、色々はみ出てるし。 もう一人、ごろごろと転がしてみる。 何か、動かないのは同じなんだけど、こっちは気絶してるだけみたい。 ちょっと顔の形は変わっちゃってるけど、でも、まだ生きてるから。 だからこれは私が分担した分じゃない。 ボンゴレの鉄則なんだって。 原則、殺しちゃいけないんだって。 私は、上手く殺さずに倒すなんて、出来なかった。 あーあ。 ボス怒るかな? 怒るよね? どうしよう、考えただけで凹んできた。 元々、今回のお仕事も、私が駄々こねてついてきたわけだしな。 呆れられたらどうしよう? 放り出されちゃったらどうしよう? ねぇ、私まだ、上手く『スイッチ』の切り替えが出来ないだけだよ。 次はもっと上手くやれるよ。 だから、出来れば怒らないで欲しい…。 「っ!!」 ボスが凄い声で私を呼んで、びくっと身体が震えたのが分かった。 同時に、何かが頭の中でカチって外れるような感じ。 思わず力が抜けてへなへな座り込んでしまった私に、隼人さんと武さんが近付いてくる。 「馬鹿!お前、何ヘマしてやがる、!」 「あー、うん。あんまり上手く出来なかった。殺しちゃった。」 「そんなことより、大丈夫か?立てるか?」 えへへ、と笑いながら。 言い訳めいた言葉を返せば、武さんがなにやら慎重そうに私の背中に回って、大事なものにでも触るような手つきで身体に触れた。 いやん、セクハラですか? なんて、テキトーなことを思いながら肩越しに視線をやれば、右肩の少し下の辺りにナイフが生えてて。 うそ…、ナイフ刺さってる。 何この最大級の失態…。 もう地面に沈み込みたくなるくらい、イタダケナイ。 やっぱり私はマフィアにはなれないのかなぁ、とか。 戦闘技術とか叩き込まれても、所詮は実戦と努力で学んだものじゃないから、駄目なのかなぁ、とか。 ちょっと泣きそうになった。 ちなみに、幸か不幸か痛みは殆ど感じない。 まだちょっと『スイッチ』が入ったままなのかもしれない。 「…。」 ボスが、呆れてるのか怒ってるのかよく分からない、でもちょっと怖い顔で覗きこんでくるから、私は大慌てでナイフを抜き取って、それを放り投げながら弁解した。 「次…次は失敗しないから!もう大丈夫だから!だから怒らないで!!」 「ああ、!!そんな無造作に抜いたら駄目だってば!!傷広がるし!てか、血!血!!何考えてるんだ、馬鹿っ!!」 |
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