「起ーきーてーっ!!起きて下さーい!ジロちゃん先輩、休憩はとっくに終わってます!!」 それどころか、もう部活も終わりの時間です!!っと。 は俺の身体をずりずり引き摺りながら叫ぶ。 あははは、残念だけど、の力と体格じゃ、俺を運ぶことは出来ないCー。 でも、俺を呼ぶ声とか、一生懸命引っ張ってる姿とか、のそういのが可愛いから、実は起きてるんだけど起きないのだ。 「ジロちゃん先輩ってば!!このままだと放置プレイしちゃいますよ?!」 「――………。」 どこでそんな言葉覚えたんだろう? 跡部とかだったら、俺ちょっと人間不信になっちゃうかも。 でも、何だかんだ言っては絶対に俺を置いていかないし。 「もうっ!私にだって、考えがあるんですからね?!」 ついには怒ったらしいが、ジャージのポケットから携帯電話を取り出す。 薄目を開けて見てみれば、器用に片手で携帯を操作して誰かに電話をかけてた。 んー、誰にかけてるんだろう? 流石に監督とかだと、マズイかも知れないけど。 『もしも「跡部先輩!今すぐジロちゃん先輩をレギュラーから外しちゃって下さい!」 うわぁ、ってツワモノー。 跡部の言葉遮ってまで怒鳴るなんて。 俺今までそんなことする女の子って見たこと無いよ? ちなみに、俺は別に跡部が怒っても不機嫌になっても全然怖くないけど。 めんどくさいからわざわざ怒らせたりはしないC。 案の定、言葉遮られた跡部の、すげー不機嫌そうな声がの携帯の向こうから聞こえてくる。 『もしもしくらい言わせろ。』 「だってどうせ携帯に着信表示出るじゃないですか。それよりジロちゃん先輩が起きないです!どうにかして下さい!」 『あーん?部員を起こしに行くのもマネージャーの仕事の一つだろ?』 「そんな仕事聞いてないですー!こんなの運べないですよー!!!」 ねぇ。 こんなのって、俺のこと? 電話の向こうで、跡部が笑ったのが分かった。 『とにかく、ジローを起こして来い。起きれば自分で歩いてくんだろ?』 「だからその起こし方を教えてくださいよ!!」 ブツっと、勢い良く通話が切れる。 は茫然と携帯電話を見つめて呟くと、暫くそれを睨んでいた。 でも、すぐに携帯をポケットにしまって、そして何故か腕まくりをして気合を入れている。 「よしっ!負けないもん!」 あのー、ちゃん。 俺を起こすのって、そんなに重労働? 俺、の前ではいつも起きてるんだけどなー? 寝たフリしてるけど。 まぁいいや。 面白そうだから、もう少し寝たフリをしておこう。 |
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