通信回線の向こう側に映った顔は、前に見たときより随分とやつれているように見えた。 いわゆる、精神的疲労というものかもしれない。 「。」 「あ、キラ。」 通信画面に映る顔は、キラとがヘリオポリスの工業カレッジで出会った頃と何ら変わらない雰囲気だ。 だが今は、お互いに戦闘中。 キラはまたまとめて核を撃ち落して、は核を積んでいるピースメーカー隊を直接撃破していった。 それなのに、の声には驚くほど緊張感が無い。 「早いね、さすがはキラ・ヤマトとフリーダム。プラントを助けてくれてありがとう。」 「。」 「でも、私のことなんて、もう気にしなくていいから。」 「。」 「なぁに?キラ。」 何か言いたくて名前を呼んだのに、いざ問い返されると何と答えればいいのか分からなくなってしまう。 少しの沈黙の後、キラは声を押し出した。 「僕は。君を殺したくない。。」 「それじゃあ、私がキラを殺していい?」 だが、は黙々と標的を撃墜しながら、すぱんと答える。 少し、微笑みながら。 言葉で言う程の殺意は感じられないのに。 「共に戦うことは出来ないの?は、戦争を終わらせたくはないの?」 「終わらせたいけど。でも、一緒には戦えない。キラが。キラたちが敵じゃないと、私はもう戦えないから。きっと。」 返ってきた言葉は、残酷で、無邪気で、そしてそれ故哀しい。 いつからそうなのか、キラには分からなかったが、は死にたがっていた。 出来れば一番最初に。 それも、キラを含むの親しい友人の誰かに。 それが、を戦わせる唯一の術で、ぎりぎりのところで落下を防いでいる命綱だった。 だけど、キラにはそんなことは出来ない。 だから。 「、僕は、君を、殺さない。」 断言しておいた。 それを聞いて、通信画面の向こうで眼をまん丸に見開いたは、そのまま無言でキラを見つめ返して。 「。僕は、君の生きてる姿が好きだよ。」 と、告げれば、はまた少しだけ、笑った。 |
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