時々ね、凄く寂しくなるときがあるんです。部屋が広すぎるとか、暗いのが切ないとか、うっかり夜中にめを覚ましちゃったとか、そういうこと全部抜きにして、世界の中に自分だけが取り残されちゃったような錯覚に陥るのです。 「こんこん。」 「ノックは声で言うもんじゃねぇだろ。」 会話の中には「入っていい」なんて一言もなかったけど、私は最初の声が帰ってきた時点で、さくっとドアを開けて当代ボンゴレが誇るヒットマンの部屋に滑り込んだ。 あら、リボーンさんや、こんな真夜中に銃のお手入れなんて、なんて真面目なの? つーかリボーンの銃ってレオンじゃなかったの?バラしちゃって平気なの?形状記憶カメレオンだから、元に戻るのかな? 「言っとくけど、コレはレオンじゃなくて普通の銃だからな。」 私はそんなに微妙な顔をしていたのでしょうか?リボーンに見透かされたみたいに、鼻で笑われました。なにこの人、失礼な! 「それで、どうしたんだよ、は。また寝れなくなったのか?」 ちょっとむくれた私ですが、なんかリボーンが手を止めて真剣に私を見つめてくるので、何だか意気を削がれた感じ。まぁ、喧嘩を売りにわざわざ来た訳じゃないんで構わないんだけども。 「眠れないっていうか、何て言うか…。うん……さみしい。」 あ、笑いやがったわね。ちくしょー、笑顔が可愛いから怒れないわ!何この敗北感。年下の癖に生意気! 「リボーン、今笑ったでしょ?」 「が子供みたいなこと言うからだ。」 「高校生は立派に子供ですよ。つーか、私より年下なんだから、リボーンだって子供じゃない。」 「じゃあはさみしいからって、『自分より子供』の俺に構って貰いに来たのか?」 「悪い?だってみんながっつり大人なんだもん。行ったって怒らないだろうけど、子供扱いはごめんだわ。」 痛いところを突かれたので、いっそ開き直って言い返してみた。 子供が大人に対して「子供扱いしないで」なんて、絶対無理な話しだもん。困った顔して微笑まれるのがオチだわ。でも、自分より年下なら、いくら子供扱いされたって、別に何とも思わないし。年上の余裕ってやつ? 「そんな訳で、リボーン。悪いけど今日も一緒に寝かせてね。」 もはや相手の返事なんて待たずにリボーンのベッドに潜り込む。毛布の向こうからため息が聞こえたような気がしたけど、軽くシカトな方向で。 はっはっは!私を部屋に招き入れたのが間違いなのサっ! と、思っていたら、不意にベッドが軋んで、急にリボーンが私の上に乗っかってきた。なによー!おもいー! 「。夜中にそう何度も男の部屋に潜り込んで、毎回無事に出れると思うなよ?」 「どーしてイキナリそんな話になるのっ???!!!」 がばっと跳ね起きたつもりでしたが、完全に私の上に重なったリボーンのせいで阻まれました。 ぎゃーっ!ちょっとそれ以上近づかないでよ(泣)!! 「さぁな?大人が子供に手を出したら犯罪だろうけど、俺は子供だからに手を出しても自由恋愛だろ。しかもちょうどそういうことに興味深々なお年頃だ。」 「わかった!わかったから!子供扱いしたことを怒ってるなら謝るから!とりあえず上に乗っかるのは止めてくれぇい!!」 「分かればいいんだよ、分かれば。」 「つーか、興味深々って何よ。どんだけ早熟なの?男の子ってそういうものなの?」 リボーンは言うだけ言うと、割とアッサリどいてくれた。ふぅ、貞操危機一髪。ぶつぶつ呟きながらも、ほっと一息つく。 と、思いきや、ちょっとまってちょっとまってちょっとまって。 「リボーン、どうして布団の中に入ってくるの?」 「俺が俺のベッドに入って何が悪い。」 「いやそりゃそうなんだけど。何この手。何ですかこの手は。」 そうです、無駄な抵抗で力尽きた私の腰の辺りを、リボーンは何を思ったか両腕を回してきたのです! いや、嬉しいけどね。おねーさん軽く喜んじゃうくらい美味しいシュチュエーションだけどね。でもたった今襲われかけた相手にベッドの中で抱きしめられてのうのうと眠れるほど神経図太くないから、私! 「うるせぇな。がさみしいっつーから一緒に寝てやるんだろ?言われなくても子供になんか手ぇ出さねぇよ。文句があるなら、次はイーピンのとこにでも行け。俺はもう寝る。」 お説、ごもっともで。これからはリボーンのところじゃなくてイーピンちゃんのところへ行こうと心に決めつつ、脱出を試みましたが無駄な行動でした。 うふふふふふ。その夜私が眠れなかったのは言うまでもない。つーか、悔しいから私が襲ってやろうかしら、コイツ。 |
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